翌朝、僕はおかしな音で目が覚めた。カチン、カチンという乾いた音だ。

「おはよう」

僕がベッドから声を掛けると、シロナがキッチンから顔を出した。

「おはよー」

「それは?」

「ガスコンロ」

「どうしてそんなものを?」

「買ったの」

「いつ?」

僕は耳を疑った。

「さっきよ。起こしたら悪いと思って、一人でぶらっとね」

そう言って、シロナはレジ袋から卵とベーコンを取りだして見せた。

「食べる?ベーコンエッグ」

「ああ、でも君が作るのかい?」

「悪い?」

「悪くはないけど」

僕は紅茶のティーバックを取りだし、ポットの電源を入れた。