――ベルが鳴った。

気がつけば、列車は再びゆっくりと動き出していた。

シロナの姿が消えていた。

僕はまた瞳を閉じた。

もう一度開くと、今度は向かいの席から僕を見て微笑んでいた。

僕はシロナを失うのだろうか。

シロナはどう思っているのだろうか。

胸の奥がズキリと痛んだ。

手のひらに汗が浮いた。

それは、十年前の疼きととても似ているような気もしたし、少し違っているような気もした。

いろいろな想いが脳裏をよぎった。

早紀のこと、ジェーンのこと、シロナのこと、星空レストランに集う、あのおかしな連中のこと……


エディンバラに到着するまで、僕の精神は何度か分裂と再生を繰り返し、シロナは何度か姿を消した。