「だけど……」

まるで僕の思考を引き継ぐかのように、シロナがおもむろに口を開いた。

「どうしてエディンバラなのかしら?」

そう。それだ。

僕は黙って窓の外を眺めた。

実際のところ、それは僕にとっても大きな疑問点の一つだった。

「この旅にジェーン・グレイが絡んでいるのなら、次の行き先はきっとブレイドゲートだって思ったのに」

「まあね」

僕が木組みの窓枠に頬杖をつくと、その僕の目線に自分の目線を合わせたシロナが「でもね」と続けた。

「私、分からなくもないのよね」

「と言うと?」

「だって、ブレイドゲートはジェーンの故郷なわけじゃない」

「だから?」

僕は続きを促した。

それ故「彼女」の居場所はブレイドゲートなのではないのかという思いが、僕の中にまだ残っていた。