夫の処刑から一時間後、ジェーンは真っ白なシルクのドレスに着替えさせられた。

部屋を出ると、フェケナム司祭が恭しくジェーンの前に跪き、わずか十五歳の少女の細い手を取った。

「お供いたします」

「……司祭様、私はカトリック教徒ではありません。どうかそれだけは」

「なりません」

「ですが……」

「これは、私個人の意志なのです」

司祭が顔を上げた。

プロテスタントもカトリックもない。純粋に一人の女性を尊ぶ司祭の穏やかな笑顔がそこにあった。

長い沈黙のあと、ジェーンは小さく首を縦に振った。

「……やっと、私の申し出を受けて下さいましたね」

司祭は嬉しそうに言った。

「本当ね」

ジェーンは微笑み、手のひらから伝わる温もりに睫毛を振るわせた。