すべてが計画どうり。前途は洋々と開けているはずであった。

ジョンは待った。エドワード六世の衰弱は、もう誰の目にも明らかだった。

国王崩御と同時にメアリーとエリザベスを拘束し、ジェーンを女王として立てる。それが、ダドリー家とグレイ家が思い描いていた青写真であった。

しかし、ジョンの不穏な動きは、ジョンの専政をよしとしない対抗派閥の察知するところとなった。

派閥の貴族ノーフォーク公は、メアリーを極秘裏に自領の城に隠し、何食わぬ顔で傍観者を決め込んだのである。

メアリーが姿を消したと知ったジョンは大いに焦った。居ない者を拘束できるはずがない。ジョンはすぐに対抗派閥の仕業だと気づいた。

1553年7月6日
エドワード国王崩御

しかし、その死は十日まで公表されることはなかった。

ジェーンの擁立にメアリーの拘束は不可欠だった。仮にこのまま計画を推し進めても、メアリーを擁立した別の陣営が反乱を起こすことは明白だった。

ジョンは黙考した。

薄暗い屋敷の中で蝋燭を灯し、その淡い揺らめきを一点に見つめながら……