二人は似ていた。


 と、言うのも彼らは双子であるからだ。それも正真正銘の一卵双生児。


 故によく間違えられ、その度にツェルゴランとツェルゴールは腹を立てていた。


 特にツェルゴールは異常と言う言葉が似合う程に。





 ある日のこと


 ―――チリン、チリン


 城内に鈴よりやや低めのベルの音が響いた。


「ツェルゴール様、お呼びですか?」


「藤花おせぇよ。つかお呼びですか…って、呼んだから鳴らしてんじゃん」


「チッ、仕方ねぇじゃねぇかよ、マニュアルに書いてあるんだから。」


 藤花(とうか)と呼ばれた少女は、眉間に3本皺を刻ませて主であるツェルゴールを見て言った。


 しかし、その口調はメイドにあるまじきものではない。


「くしし!確かに藤花らしいじゃん!」


 仕えてるメイドの口調を気にも止めずツェルゴールは笑った。


「で?」


「?何でしょう」


「そのマニュアルとやらはどーしたわけ?」


 何が楽しいのか、彼は独特の笑い方のまま藤花に尋ねた。