「今週の日曜日練習試合行くぞー。」



突然監督が言い出したのは金曜日の練習終了時だった。



「急ですね。」


キャプテンの高口が少し焦りも見える様子で答える。


「まぁ練習だ気楽にいこう。」


監督はそう言うが、
俺達からすれば入部して初めてであり、久しぶりの実践。



そして一番の問題が…



「俺一ヶ月以上走り込みしかしてへんがな…」



そう、俺は入部して以来、ずっと別メニューで走り込み・体幹トレーニングばかり。


ボールに触るのはキャッチボールのみ。



「監督は何考えてるんやろな。」



練習の帰り、弘貴が言った。



「全然わからん。タバコもやめたしスタミナは確実についた思うけど、マウンド上がってないから正直ピッチングは不安やな。」


「まっ、さすがに明日はさせてくれるやろ。ほなお疲れ。」


弘貴にそう言い、その日は別れたが、次の日も結局、俺がボールに触ったのはキャッチボールのみやった。