この日の晩は病院に泊まる事となった。
と言うのも、
自分が覚えている限りでは胸を刺され死の淵まで逝ったと言う事なのだが
医者から聞いたら、胸にナイフは掠った程度の傷で、縫う必要も無いくらいだったという。
その為入院する必要も無く、明日には家に帰れるとのこと。
やはりあれは夢だったのだろうか。
鏡を見ても額に刻印など無い。
随分と鮮明に覚えている不思議な夢だったと思いながら僕は眠りに着こうとした。
その時だった。
「………っ!!!」
目の前に昨日の少女がいた。
「……また…ゆめ…?」
自分を疑った。
しかし人間と言うものは実際夢を見ている際、それが夢だとは気付かないものだ。
如何に不思議な事が起きても、何故か素直に受け止めてしまい夢だとは疑わない。
したがって、自分が夢かと疑っている時点でこれは現実なのかも知れないと思った。