口元を緩めた如月が目の前に立つ。


「俺の名前は如月じゃねぇよ。玲」

「いいじゃん、如月で!ずっとコレだったんだし」

「れーい!」

つくづく強引なこの執事。あたしは意を決して呟く。


「玲…」


如月は安堵したような顔で微笑んだ。


「よく出来ました」


恥ずかしさと混乱で頭の中の整理がつかない。如月は、如月のままでいいのに…


「飯、食う?千秋」

「え、いいよ。寝てて!きさ…玲、風邪でしょ」

「風邪、千秋に移したら大分よくなった」

「はあ!?」

「だから、座ってて」


手を伸ばしあたしを静かにソファーに座らせた如月。