だけど…冗談だって分かっているはずなのに

分かっているのに…知れば知るほど異様に痛んだこの心臓。


「そんなショック受けたような顔しなくったって、千秋に好きな人は唯なんでしょ?」 


そう…如月は正論を言ってるだけ。あたしの好きな人は倉木さんのような人。


「邪魔になる俺が、千秋を好きじゃないって言ってんだから、普通は喜ぶところじゃねぇの?」


分かってる…分かっているからこそ、当たっているからこそ悔しいんだ。

倉木さんのような人という理想を、如月に押し付けて…


「だったら…如月もあたしにキスなんか…しないでよ」


あたしはただ逃げているだけ。


「なんで泣いてんの、千秋」

「アンタがあたしに…キスなんか…っす…っからでしょ」


本当は心の何処かで分かっていた。

あたしを支えてくれている人の存在…