「あれ?お、怒った…?まあまあっていうのは嘘だからね?」


如月は黙り込みながら、あたし首筋をそっと触る。


「俺が怒ったんだって分かってんなら、なんでその口閉じないわけ?」

「…はい…?」

「それとも俺の口で塞いで欲しーとか?」

「分け分かんな…」


その言葉を消し去るかのように塞がれた唇。肌にかかる吐息が熱を帯びている。


「…っ…」

「ごちそうサマ」


被害を受けたのはあたしの方なのに…

なのに…


「なんであたしが、こんなに真っ赤にならなきゃならないの…」


…賭けはまだ負けたわけではない。むしろこんな状況の中で、アイツを好きになる奴などいないだろう。

だが、明らかに反応しているこの心臓。