とことん意地悪い、この男。

聞きたくないわ、そんなもん!と心の中で呟く。


「…先にフランス語っつったのはアンタでしょーが…」


あたしは更に墓穴を掘る。しまった、と今更気づいてももう遅い。


「俺は千秋を助けたつもりで、あぁ言ったんだよ。千秋が俺に、植え付けられた知識っつったら、全部、必要不可欠なんだけどな」


予想通り如月は、太刀打ちできないぐらいの言葉を投げかける。


「どこが不可欠よ…皆、いらない知識じゃない」

「ホンット、千秋って素直じゃねぇ…」

「あたしはいつも素直です!」

「あっそ。じゃあ千秋にもし好きな人が出来たら、言える?」


この問いは結構胸に響いた。倉木さんは気になる人…

じゃああたしの好きな人って…?


「言えるよ。ただし、如月も言ってね」

「いいよ。でも今は秘密」