コンコンと突然聞こえたノックの音。


「千秋様、スコーンをお持ちいたしました」

「え!スコーン?入っていいよ!!」


甘党なあたし。しかも如月の焼いてくれたスコーンは、お母さんの作ってくれたスコーンと味が似ていて、すごく美味しい。


「千秋様は、本当にスコーンがお好きですね」

「へへ…だって美味しいもん」

「そう言って頂けると光栄です」


スコーンを頬張るあたしは、本当に我を忘れていた。そのせいか、伸びてきた如月の腕に気づかなかった。

如月の手は、あたしの顎をクッと上に持ち上げると、器用に口元についていたスコーンの欠片を取り、そのまま自分奥の口に持っていく。


「付いてましたよ。ここ」


如月のした事なのに、何故あたしがこんなにも赤面してしまうのだろう。

如月はスッと耳元に口を近づけると、笑いながらこう言った。


「千秋、俺のフランス語、聞いたことあったっけ?」

「!」