さっきまで浮かれていた母の顔が、嘘のように真顔になる。


「確かにこんなお金じゃ、馬鹿にしてると思われても仕方ないけど、千秋のほしいものぐらいなら買えるでしょ?」

「え…」

「執事さんに奢って貰うわけにいかないし…ね」


今の母の言葉を聞いて、少しだけ『行こうかな』という気持ちになった。


「…お母さん、あたしも準備するよ。何、手伝えばいい?」


あたしは母にそれを態度で示す。


「そうね、じゃあ服まとめてくれるかしら?」

「オッケー」


そうしている内に日は暮れ、時計はもう10時を指していた。


「明日は早いらしいから、もう寝なさい」