「着いたわ。降りて!馬鹿玲」

「…」

「早く!」


梓さんの言葉を軽蔑したような目で見ている玲。


「梓どーにかしてよ…司」

「いいからっ!ホラ病人!」

「司ぁ」

「すまない、玲。無理だわ」


涙目の玲を梓さんは思い切り突き飛ばし、見送った。


「付き添い…行かなくていいの?梓」

「いいのよ!千秋ちゃんも行かなくてい…」

「あたし、行きますよ」


きっぱりそう言った頃には、もう歩き出していた。草を足でよけ、石をまたいで玄関まで向かった。

そして看護士に話しかける。


「あの…玲…如月玲の病室はどこですか?」