「乗って!医者よりは速いわ。司、飛ばしてね」

「はいよ」


玲は自力で車まで歩いた。何故司さんが車の免許を持っているかなんて、今はどうでもいい。

とにかく走り飛ばすのみだった。


「…情けねー…」


玲が呟く。その玲の頭を梓さんは、思い切り引っぱたくとこう言った。


「アンタは少し黙ってな!」

「…あ、梓さん…」

「…お前、仮にも俺は病人だぞ?」

「どーでもいいわい!さっさと寝腐りやがれ」


徐々に性格が変わっていく梓さんを、あたし達2人は唖然として見ている。


「梓はあーなると、誰にも止められねぇよ…俺でもな」


司さんはふうっとため息をついた。