夏樹もあたしと同じ貧乏学生だから、飲み物はジュースなんてない。
いつも麦茶。
でも夏樹の使っている麦茶は、実家からお母さんが送ってきてくれているもので
市販の麦茶よりも香ばしくて美味しい。
「ホラ」
「あーありがとー」
あたしはそう言いながら手を伸ばすけど、夏樹は麦茶の入ったコップを離さない。
「………?」
何?という風に首を傾げる。
ガタンっ
「おわっ…」
いきなり夏樹に抱き締められたあたしは、その勢いで後ろにひっくり返ってしまった。
ちょうど、あたしが夏樹に押し倒されたようなカタチ。
「ちょ……夏樹……?」