「…明菜…いない……」



中田祇園の橋の前についたあたしは、思わず両手で顔を覆った。



もう……手遅れだったのかも……



「明菜…あき…なっぁ……」



ヤだ。


こんなの、イヤだ。



あたしは急いで明菜のケータイに電話をかけた。



もしもし?って、何事もなかったかのように電話に出てよ。


あんなの信じたの?って、バカにしたように笑っていいから。


今日だけは、嘘をついたこと、ちゃんと許すから。



だから……っ







♪~♪~♪~♪~




だけど、明菜の着メロは、あたしの隣にいた夏樹の足元から鳴った。