「中田祇園って言ったら、2、30分はかかるぞ?」
車に乗り込んだあたしは、急いでシートベルトをしめる。
「うん、分かってる」
それでも。
急いで行ってあげなくちゃ。
今回は、本気な気がするんだ。
明菜が、以前言っていたこと。
『いっつもケンカばっかりしてて。
すぐ別れようって思ったり、言ったりしちゃうけど、ホントに今まで別れてなくて良かった。
大輔は、もう、あたしの光なの。
ないと、生きていけないの。
大輔がいなくなったら、もう真っ暗闇の世界で……
あたしは生きていく価値を見つけられないかもしれない――』
あたしが明菜だったら、そんな相手に出逢えたのは運命だと思う。
でもそんな彼と別れたら、きっと同じような人にはもう出逢えない。
それなら…
それなら……