「あ、うん。 これこれ」
元々数学と理科系が得意だったあたし。
だから理系の道に進んだんだけど、実際あたしより頭いい人なんてたくさんいて…
夏樹だってその1人。
「コレは、こっちの式を変型させると…こうなるから……」
シャープペンを持っている大きな手。
長い指。
その指がクセであたしの髪の毛を触る。
「…ってお前、聞いてる?」
「あっうん。 ごめん」
こんな人が、あたしの彼氏でいいのかってたまに思う。
頭が良くて、カッコ良くて優しくて。
あたしには…もったいなすぎる。
「あ~なんか喋ってたらやっぱノド渇いた。 夏実も飲むだろ?」
「うん。 じゃあもらう」