「キ…キョーコちゃん? 大丈夫?」
ヒロミさんが後ろから背中を擦ってくれた。
あたしは叫んでからどれくらい止まっていたのだろう。
気付けば周りの人達は、各々のグループの会話に戻っていた。
ねぇ、目を見てよ。 深海絢。
前みたいにあたしの腕を掴んで連れ出してくれないことなんて、分かってるけど。
でも、あたしは別れを言いに来たの。
これでもう終わりなんだよ?
ねぇ、目を見て。
もっとちゃんとあたしを見て欲しかったんだよ…。
あたしは、カウンターに手をついて身を乗り出した。
そしてゆっくりとあたしの唇と絢の唇を近づけ…
一瞬、触れただけのキスをした。
唇が離れた瞬間、あたしは振り返らずにMr.シャマンを後にして走り出した。