あたしは絢のいるカウンター席に腰かける。


「京子来ないから、マジでバイト辞めようかなとか思ったんだからなー」


「何それ。 大袈裟」



本当は、辞めてくれた方が良かったのかも。


そうすればあたしは絢の事は諦められたかもしれないのに。


なんて、こんなことは絶対に口にできないけど。



「今日は何ですか、お客さん? 何か嫌な事でもありましたかー?」


絢がふざける。


ホントは知ってるハズ。


絢、勘とか良さそうだもん。


あたしはふっと笑った。



そしてゆっくりと顔を上げる。



「ごめん……」