真ん中でギターを肩に掛けたままマイクを持っているのは、紛れもなく夏樹。


あたしが傷つけ続けてきた、好きだったヒト。



――今日も盛り上がっていこうな! じゃあ早速聞いて下さい。 『メゾピアノ』。


そして会場には、口笛や歓声、拍手が残った。




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見つけた日だまりに
君と僕はまた並ぶ
いつもの影法師描いて

この気持ちたちとは
いつ別れる時が来る?
我が儘な僕はずるいんだ

いつからか消えたピアノの旋律は
今だって心に残っているのに

大好きだとか一緒にいたいとか
愛情まがいの言葉をばらまいて
そのメゾピアノはまだ君の心に
君の心に
Ah…


誰も何も知らない
何も分かりゃしない
君と別れが来ても

今だけは泣いてもいいか、君の肩で
雨の音すらも濡らすメゾピアノ

蜃気楼の中に君の姿を見たあの日
僕は君の虜になった
今でもそのメゾピアノはピアニストの
僕だけのもの

会えないんじゃなくて
会いに行かないだけ
もう少し僕が僕でいられたら
どこにでもとんでゆく

大好きだとか一緒にいたいとか
愛情まがいの言葉をばらまいて
そのメゾピアノはまだ君の心に
君の心に
僕の心に


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