「あっつ! 信じられないね、コレ。 みんなロマスタ目当てな訳!?」


「うんー。 そうかもね。 メジャーデビューするバンドがどんなモンか見たいもんね」



今。


あたしは明菜と、バンドフェスティバルの会場に来ている。


夏樹がくれた、あのチケットを持って。



「もうちょっと前行かせてくれないのかなー。 ちょっとすみませーん、すみません」


明菜はあたしの腕を掴んでぐいぐいと引っ張る。


だけどみんななかなかどいてくれない。



「ロスキージャス次なんだけど……っ! 通してよ…っ」


明菜がそう言った瞬間、人の波が一斉に明菜の方を見た気がした。



「あたしたちも、ロスキージャス見に来たんですよー。 全然見えないですよね」