カフェを出ると、日光がキラキラと輝いて回りの景色が光っているように見えた。
青く澄んだ空に、鳥のさえずりが聞こえる。
木々が風にそよそよと揺れて、それと一緒に子供たちの笑い声も流れてくる。
「東京にも、こんな風景がまだ残ってるんだね。 ちょっと嬉しくなった」
隣で明菜がポツンと呟いたのを聞いて、あたしも嬉しくなった。
「テレパシー?」
「んー?」
「今、あたしもおんなじ事思ってた」
今の相手が男だったら、きっとあたしは恋に落ちちゃう。
今の相手が夏樹だったら、やっぱり夏樹が好きだって夏樹の腕に顔を埋める。
今の相手が……
もし絢だったら。
あたしはまた夏樹を傷つけるかな。
そんな事を思ってあたしはブンブンと頭を振った。
夏樹のバンドフェスまでは、絶対絢には会わないって決めたんだから。
絢とあたしが、友達同士っていう関係だったとしても。