「…? ……?」
ん?
明菜が口をパクパクさせて何か言っている。
あたしは耳をふさいでいた手を離した。
「え? 何て言ったの?」
「『マジ? 結局メジャーデビューするんだ?』って言ったの!」
「あ、うん。 この人たち、何回もメジャーデビューの話蹴ってたみたいだもんね」
「へー…。 でも夏樹くんも、その人たちと同じステージ上がれるのは刺激あるんじゃない?」
「うん。 そうかも」
カランカラン――
その時、扉が開いて涼しそうなベルの音が店中に響いた。
「いらっしゃいませー」
店員が明るく声をかける。
あたしは、一瞬目を疑った。
まっピンクのワンピースを来て、スレンダーボディ。
真っ赤なルージュにサングラスをかけている。
ここにいる他の人たちとは完璧に違う、金髪のブロンド。
「ヒっ…ヒロミさん!?」