「ていうか、まず京子って呼ぶのやめてよね、深海絢」
あたしの腕を掴んでグイグイと引っ張る深海絢を睨みあげた。
「じゃあ深海絢ってやめてよね、夏実ちゃん」
あたしの口癖をまねするようにたしのあとに繰り返す。
「…じゃあ何て呼べばいーのよ」
「絢でいいんじゃね? みんなそうだし」
「じゃあ絢って呼ぶから夏実って呼んで」
あたしが嫌々そう言うと、絢は満足そうにあたしの腕を掴みなおした。
「なんか俺ら、恋人同士みたいだねー♪」
「ヤメテよ、あたしには夏樹がいるんだってば。 知ってるでしょ?」
あたしは掴まれた手を無理やりほどいた。
「なー、なー。 俺にしとけばっ?」
あまりにもノリが軽すぎて、一瞬何を言っているのか分からなかった。
「……はぁっ!?」