「……? どーした?」


深海絢に話しかけられてからも、思わずあたしは彼をジロジロと見てしまっていた。


「おーい? 京子?」


「……あんた、会社員じゃないの…?」


あたしは、コイツに2回目に会った時、名刺を受け取った。


そこには確かにコイツの名前があった。


なのに今目の前に深海絢がバーの制服を着て立っている。



「会社は今日はない。 コレ、バイトだら」


そう言って、深海絢は自分の着ているバーの制服を親指と人差し指でつまむ。


「俺、会社じゃ基本雑用だから。 週休二日制だし。 他にバイトしなきゃ金ねーんだ」


そう言って残念そうに肩を落とす。



「あ、そうそう。 で? 今日は何? どうかしたの?」


そう言われて自分が何をしにここに来たのかを思い出した。



「あっそう! 手帳! あたしの手帳知らない?」