「いらっしゃいませー」
最初に響いたのは、この前も一番手前にいた人の声。
きっとこの人がマスターなんだろう。
ヒロミさんいるかどうか聞いてみようかな。
常連なんだから、分かるかもしれない。
あの、ヒロミさんって人、いらっしゃいますか?
そう聞こうとした時、後ろから聞いたことのあるあの金髪美人の声が響いた。
「あらっ。 キョーコちゃんじゃない。 どーしたのよ?」
「……ヒロミさん」
あたしの後ろに立っているのは、紛れもなくヒロミさんだった。
「また来てもらえるなんて、光栄だわ。 この前のでいいかしら?」
「あ。 今日はいいです。 今日はちょっと深海絢に会いたくて」
「……ケンちゃん?」
と言ったヒロミさんは、ゆっくりと後ろのカウンター席を見た。
「……だって、ケンちゃん」
そこには……
カウンターの向こうで制服を着た深海絢がいた。