「吸ってもいーよ?」



ホントは、タバコの煙なんてかなり嫌いなんだけど


あたしは気付くとこう答えていた。



だけど深海絢から即答された言葉は


「いや、いい。 やめとくわ」


「あ、そう」


あたしたちの会話は、そこで途切れた。



「おーよし。 着いたぞー」


「あ、ありがと…」


そしてあたしは、大学の少し手前で車からおろしてもらった。



車から降りてバタン、とドアを閉めると何事もなかったように車は去っていった。



なんだ、ホントに何にもしなかった。


何かしてほしかったわけじゃなくて、ただあまりにもあっけなくて


なんかどこか不安がよぎったから。



降りて初めて気付いたんだけど、ヒロミさんの車はフォルクスワーゲンだった。


まぁどーでもいいことだけど。