カチ、カチ、カチ――



ん?


何の音……?



右から聞こえてきた聞きなれない音に、思わずまた深海絢の方を見た。


見た瞬間、さっき自分が何で横を見ないようにしてたのかが思い知らされた。



あたしの横には、ライターのフタを開けたり閉めたり…


それでカチカチと音を鳴らす深海絢。


あたしはそのライターのフタを操る長い指に見入ってしまった。



すると、そのあたしの視線に気付いた深海絢が「んー?」と顔を上げる。


「いや…その…タバコ…吸うんだなぁって思って…」


「…あぁ」


深海絢は今気付きましたとばかりに自分の手を見た。


「やべーよなぁ。 依存症かも。 吸わないと落ち着かなくて。 今も無意識だし」



そう言って自分の手を「あちゃー」という顔で見つめる。