「しんかいあやって……そんな名前そーそーいないだろ。 それでふかみケンってゆーの」
「ふかみけん……?」
「うん、そーそー。 覚えてくれそう?」
「……サヨナラ~」
あたしは気が抜けたようにフラフラと後ろ向きに手を振って歩き出した。
「えっちょっ……京子ちゃん!? ちょっと待ってよ!」
「あたしストーカーに付き合ってあげるほどヒマじゃないんでー」
その瞬間。
深海絢に右肩をぐっと掴まれたあたしは
その勢いで後ろに転びそうになった。
「なっ…何すんのよ! 今、転ぶかと思ったじゃない!」
「なぁ…」
「え?」
そいつの真剣な顔に、一瞬ドキッとした。
昨日も今日も笑ったトコしか見たことなかったのに…
何でこんな真剣な顔してんの……?
「俺の事、知りたくない?」