「夏実……」


さっきまで冷たい麦茶を握っていて、冷たくなった夏樹の指があたしの首に触れた。


「ひゃ……」


「俺の事、好き?」


「え…当たり前じゃん。 好きだから軽々しく好きなんて言葉言えないんだよ?」


「………」



夏樹は黙ってあたしの首筋と唇にキスを落とした。



俺の事、好き?なんて、そんな言葉夏樹の口から出てくるなんて思わなかった。



逆にあたしが好きでいてもらえるかどうか不安だよ……


だってあたしはただの凡人だもん。


それに比べて、夏樹はもうあたしとは異世界の住人だと思う。



こんな完璧な人間、あたしは今まで18年生きてきても出会ったことがない。



でも……


あたしがたまに不安になるように


もしかしたらあたしも夏樹を不安にさせちゃってるのかな。