「あ。 こんなとこにいた。 探したよー」


あたしの声に気付き、彼はゆっくりと顔を上げる。


「あれ。 夏実。 講義は?」


「ないってゆったじゃーん。 今日の午後一緒にどっかブラブラしよーってゆったじゃーん。 どーせ夏樹忘れてたんでしょ。 もー慣れたから別にいーけど」



あたしがこう言い終えないうちに、夏樹がだんだん『しまった』という顔になったのが分かった。



「悪ぃ。 すぐ荷物まとめるからちょっと待って」


そう言うや否や、夏樹はバタバタと教科書やノートを鞄に突っ込んだ。



「はやっ」


「よしっスタバでも行くか! お詫びっちゃあ何だけど俺おごるから」


「えへーやたっ!」



あたしはご機嫌で軽くスキップ。