嵐に買ってもらったパンを持って、嵐の友達も含め、中庭でパンを食べた。


「お前ら、昼飯食ったんだろ?」

「甘いものが欲しかったのよ」

「パンがスイーツとか言うなよ?」

「何?文句あるの?」

「俺が買ってやったんだ。反抗するなら食うな」


嵐と千里のやりとりを、どこか遠くで聞いてるようだった。


「雨宮さん?」


嵐の友達の声で我に返り、訳が分からず微笑んだ。


「パン、全然食ってないじゃん」

「あ、食べる食べる」


ガブっと一口かじりついた時、嵐の視線を感じて、俯きながらパンを噛みちぎった。


「雨宮さん、俺、嵐とのこと知ってるから」


突然切り出され、口にパンが入ってるのも忘れ、驚きで口がポカンと開いた。
そのまま嵐を見ると、嵐も驚いたようで、慌てて口元を拭いている。


「嵐!!」


この一言で、煩わしいものが吹き飛んだ。


「いや、俺も相談くらいするだろ…」

「だからってね…!!」


私の言葉を遮るように、嵐の友達はこう言った。


「俺も仲間に入れてよ」


溜め息は体の中で消化され、次第に笑顔になる私がいた。