好きだから、傍にいたい。

傍にいて、少しでも嵐を感じたい。

嵐を感じるだけで、嬉しかった筈なのに、今の私はどうだろう…。


勝手に期待して、勝手に傷ついて、勝手に好きでいる。

誰も悪くない。
私だけが悪くて、そんなの分かりきったこと。



誰かのせいにしたら、ほんの一瞬楽になるけれど、すぐに苦しみの波に飲まれる。

分かってる
分かってる
分かってる…。


「美月?」

「あ、ごめん聞いてなかった」

「いや、そろそろ帰ろうかと思って」

「そうだね」


二人で立ち上がって、お尻や足の埃を払い、通ってきた川沿いを歩き出す。

街頭のない川沿いは薄暗く、光を求めて見上げた空には、薄い雲に包まれた朧月。


「足元気をつけろよ?」

「誰に言ってんの?」


斜め上の嵐に視線を移し、口角を上げて笑ってやった。


「生意気なヤツ」

「ふん」





やっぱり、

私は、

此々から動けません…。



だから、
朧月のように、隠せるだけ隠し通す…。

嵐…貴方にも。