「私は…」


と言いかけて、言葉が止まる。


「どした?」

「ううん。私は12月だよ」

「覚えとくよ」


期待してるわけじゃないのに、私は絶対期待する。
嵐が知らないままなら、諦めもつくだろうが、もう教えてしまった。

それが不安でならない。


「寒くなってきたな」


すっかり日の落ちた川べりは、私たちから体温を奪っていく。
川の向こうの夜景は、鮮やかさを増して、それぞれの光が、それぞれの役割を果たしていた。


「時間は大丈夫か?」

「大丈夫だよ」


千里がいないだけで、私たちの雰囲気は、まるで変わる。

錯覚も誤解もしたくないから、何度も彼女を思い出していた。


「俺ら、ずっと友達だよな…?」


何度も彼女を思い出していたのに、大きな木づちで頭を打ちつけられたようだった。


「うん…友達だよ」


声も出さずに二度頷く嵐。


私は一体、どれだけ貴方にフラれるのでしょう…。

何度、カーテンの閉める音を聞くのでしょう…。


見当たらない心のブレーキを、必死に探す自分がいた。