私たちの高校は、『普通』よりも少し下のレベルで、校則を守る子の方が遥かに明らかに、少ない学校だった。



髪は染めてて当たり前。
スカート短くて当たり前。


そんな中で、嵐の彼女は唯一と言っていい程、校則を守ってる人。

生徒会とか、面倒なことも引き受けているから、先生からしたら優秀な生徒だっただろう。



私にはできない。

ってか、したくない。



「私も無理だわ」

千里は眉間に皺を寄せる。


『嵐の彼女』

これだけで、冷たい目が増える。


特別、何かしたわけではないのに…。

自分が、『其処』にいないからと、彼女の気持ちを知ろうともせず、傍観していた。



次第に彼女に対する嫌がらせが、目につくようになる。


例え、私がやっていなくても、傍観してるなら同罪だ。



「やめなよ」



そう言わない私は、何処かで思っていた。


『嵐と別れないかな…』

と。



嫌がらせを受ける彼女は、それでも、まっすぐ前を向いて歩く人だった。