嵐の彼女。
崎山 薫[サキヤマ カオル]
彼女は書道で秀でていて、色んな賞を獲得していた。
それは全校集会で逐一紹介され、学校内では勿論、ちょっとした有名人だった。
「嵐には似合わないね」
千里の最初の言葉。
事実、私もそう思った。
あの嵐と彼女…何処にそんな接点があったんだろう。
そんな風に思った。
思ったけれど、噂が流れた時、否定をしなかったという嵐。
女子たちの落胆の声は、暫く消えなかった。
そして知った。
嵐を見ていたのは、私だけじゃないんだと。
あの日、千里に紹介され、嵐の中に『私』と『他人』の区別が生まれた。
だから友達になれた。
落胆する女子にとって、これほど羨ましいことはない。
『充分じゃないの!!』
と千里に感謝した。
千里に紹介された翌日、偶然、昇降口で朝から嵐に会った。
「おはよう」を言いそびれ、後悔がグルグル頭を回っていると
「名前、なんていうの?」
嵐から声を掛けてきた。
「美月。雨宮美月」
「キレイな名前してんね」
嵐との初めての会話だった。
崎山 薫[サキヤマ カオル]
彼女は書道で秀でていて、色んな賞を獲得していた。
それは全校集会で逐一紹介され、学校内では勿論、ちょっとした有名人だった。
「嵐には似合わないね」
千里の最初の言葉。
事実、私もそう思った。
あの嵐と彼女…何処にそんな接点があったんだろう。
そんな風に思った。
思ったけれど、噂が流れた時、否定をしなかったという嵐。
女子たちの落胆の声は、暫く消えなかった。
そして知った。
嵐を見ていたのは、私だけじゃないんだと。
あの日、千里に紹介され、嵐の中に『私』と『他人』の区別が生まれた。
だから友達になれた。
落胆する女子にとって、これほど羨ましいことはない。
『充分じゃないの!!』
と千里に感謝した。
千里に紹介された翌日、偶然、昇降口で朝から嵐に会った。
「おはよう」を言いそびれ、後悔がグルグル頭を回っていると
「名前、なんていうの?」
嵐から声を掛けてきた。
「美月。雨宮美月」
「キレイな名前してんね」
嵐との初めての会話だった。