「嵐と崎山さんって、付き合ってるの?」

「付き合ってるわよ」

「別れたって噂なんだけど」



『知らないし自分で聞けば?』

と言ってやりたい。



いくら嵐と話しても、
いくら嵐と話せても、

私は、知らないことの方が多い。


周りが嵐とのパイプの様に、私を扱うなら尚更、

聞いてやらない。
教えてやらない。




嵐と話せるのは、私の力ではなかったけれど、私なら話したこともない人に、こんなこと聞かない。


「私は何も知らないわ」

「…そう…ごめんね」



振り向いて千里を見たら、千里は笑っていて、とても穏やかな気持ちになった。


「自分で聞けばいーのにね」

「ほんと」


結局、ポスターを作っていたのか、遊んでいたのか、分からない時間を過ごし学校を後にした。



バス停まで暫く歩くと、


「お腹すかない?」

千里が聞いてきて、

「すいた」

と答えた。


バス停近くにあるコンビニに寄って、何を食べるか悩んでいたら、嵐が友達と入ってきた。


「よぉ」

なんて横目で挨拶されて


「よぉ」

と返してやった。


「機嫌悪いな」

「そうかしら?」


苛めてやりたくなる。