わたし、その黒い猫のことが凄く心配になったのね。

だって、いじめっこは人間だけでなく動物もいじめていたから。

前にね、学校の飼育小屋のウサギが、全部殺されたことがあったのよ。

すぐに、みんな、あのいじめっこの仕業だと気づいたわ。

でもね、誰もいじめっこに追求したりしなかったの。

生徒は、もちろん・・・学校の先生までね・・・

いじめっこの、お父さんは偉い人で、学校の誰も逆らえなかったのよ。

それから、飼育小屋の動物は殺され続けたわ。

みんな犯人が誰なのか知っているのに、誰も止めなかったの・・・

飼育小屋の動物たちは、みんな死んじゃった・・・・


だからね・・・わたし、凄く心配になったから。

いじめっこのうしろをついて歩いている黒い猫も、見つかったら殺されちゃうのじゃないかと思って。


わたし、黒い猫が心配だったから、いじめっこのうしろを、恐る恐るついていったんだけど、いじめっこが怖かったから、見つからないように離れてついていったの。


運良く、いじめっこは自分の家につくまで、うしろからついて来る黒い猫に全然気づかなかったみたい。



・・・良かった・・・



わたしね、ホッとして猫に近づいてみたのね。


もちろん、いじめっこが家の中に入っていくのを確認してからよ。


そうしたら、その黒い猫は気づいてチラッとわたしを見たと思ったら、


「にゃー」と泣いて、来た道を戻るように走り去って行っちゃったの。



わたしね、走り去る黒い猫に向かって、心の中で言ったわ。



「もう、いじめっこのうしろに、ついていったらダメだよ!」てね・・・