その目に、その強い口振りに、俺はナイフを離した。

小雨は傷ついた手を反対の手で押さえてうずくまる。

俺はそんな小雨をぼんやりと見つめながら口を開いた。

「…なんで陽菜なんだ?」

小雨はポケットからハンカチを取り出して、止血しながら話し始めた。