恐る恐る目を開けると、小雨が振り下ろされたナイフを掴んでいた。

手から流れるおびただしい量の血が、ナイフを染める。

「…往生際が悪いな、お前。」

小雨は何も答えなかったが、痛みを堪えるように顔を歪ませ、たった一言だけ呟いた。

「…陽菜よ。」