陽菜は大きなため息をつくと、生徒玄関前のゴミ箱に上靴を放り投げた。

「さすがにあれはもう履けないよね。」

「…なんだよ…あれ…。」

「…うん…。さっきの子…早苗って言うんだけどね、朝一緒に来て、早苗が上靴履いたら突然叫び出してさ…。

必死に上靴脱ぐの。そしたらね…。」

あの惨状だったのか。陽菜は少し顔色が悪かった。当然だろう。あんなものを見たら気持ちも悪くなる。

俺は気遣うように、陽菜の肩をぽんと叩いた。