「こんなことして、五十嵐を手に入れて嬉しいの?」

怒りに震えた声で、私は言った。

「当たり前じゃない。

欲しいものが手に入ったんだもん」

パン!

乾いた音が響いた。

「何するのよ!」

片方の頬を紅くした小田切紅花が言った。

「五十嵐はものなんかじゃないわ!」

小田切紅花をにらみつけながら、私は怒鳴った。

「こんなことして、五十嵐が喜ぶと思ってるの!?」

私の言葉に、小田切紅花はうつむいた。

「あんたみたいな卑怯なヤツに、五十嵐は渡さない!」

うつむいて、何も言わない小田切紅花。

私は倒れてうめいている五十嵐の手を、肩に乗せた。

重たい五十嵐を引きずりながら、部屋を出た。