「お待たせしました」

山田さんが紅茶の用意をキャスターに乗せてを運んできた。

ひゃ〜っ。

貴族ですか。

アンティーク製のティーセット――めちゃくちゃ高そう…。

お盆も砂糖入れの小瓶も、めちゃくちゃ高そう…。

やることが違う。

2つのカップに紅茶を入れると、それを五十嵐と小田切紅花の前に置いた。

「ごゆっくり」

山田さんが頭を下げて、部屋を出た。

私も出ようと思った。

正直言って、この空気にはもう耐えられなかった。

頭を下げて、部屋を出た時、
「ちょっと待て」
と、五十嵐に止められた。

「何よ…」

「俺の許可が下りてない」

「そんなの、知らないわよ」

私、何意地っ張りになってるんだろ。

「とにかく、俺の許可が下りるまで待ってろ」

「部屋の中で待ってろって言うの!?」

「ああ、そうだ」

「やめてよ!」

私は断った。