「…お見合い、は?」

「終わった。

無理やり終わらせた」

ウソ…。

私のために、お見合いを終わらせてまで追いかけてくれたの?

「俺が何にも言ってねーのに、勝手に帰ってんじゃねーよ」

五十嵐はそう言うと、私を抱きしめた。

「俺に逆らうんじゃねーよ…」

冷たい、躰だった。

呼吸も、乱れている。

それでも五十嵐は、追いかけてきてくれた。

私のために、わざわざきてくれた。

ねえ、五十嵐。

私、こんなこと言ってもいいのかな?

五十嵐が、好きだって。

憎みたいぐらい嫌いだったはずなのに、今はこんなにも好き。

そう、言ってもいい?