「あなたが、五十嵐雄平さん?」

「……そうだ」

小田切紅花はニヤッと口角をあげると、
「初めまして、小田切紅花です」
と、自己紹介をした。

それから私を見ると、
「そのお方は…?」

「俺の秘書だ」
と、五十嵐が言った。

「秘書?」

「紺野です」

私は頭を下げた。

うっ…。

腰が…。

「へえ、あなたが五十嵐さんのご指名でなった秘書?」

顔を見ると、挑発的な笑みを浮かべている小田切紅花。

うわっ…。

五十嵐と同類かも…。

と言うか、金持ちの人間って、だいたいこんなん?

五十嵐はため息をつくと、
「さっさとしてくんねーか?

小田切のお嬢さんよ」
と、皮肉を言うように小田切紅花に言った。

「…そうね、こんなところで立ち話も退屈だし」

何か、通じ合ってないか?