「確かに、お前はみどりによく似ている。

顔はもちろん、気の強いところも」

そう言った五十嵐は、寂しそうだった。

「けどあいつは、気が強い分、優しいヤツだった。

そして…臆病だった」

「お、臆病…?」

「世間から冷たい目で見られていたことも、親戚から“跡継ぎを作るための器”として見られていたことも、俺は全部、知ってた」

五十嵐は空を見上げた。

まるでそこに、みどりさんがいるように。

「愛して、守りたかった。

けど、みどりは死んだ」

自分を責めるように言う五十嵐は、悲しそうだった。

本気で、みどりさんを愛してた。

その思いが、ひしひしと伝わってくる。

「みどりがいなくなって3年。

俺は、お前に出会った」

そう言うと、五十嵐は私を見つめた。

「最初見た時、みどりがよみがえったのかと思った。

同時に、俺のそばにお前を置きたいと思った」

「それで、私を秘書に…?」

五十嵐はうなずいた。