五十嵐だった。

「俺の秘書に何しようとしてんだよ」

五十嵐の登場にヤンキーは腕を離すと、逃げ出した。

何でよ…。

何であんたがここにいるのよ…。

私は、奥さんの代わりなんでしょ?

驚く私に、五十嵐は視線を向けると、
「お前はお前で何勝手に帰ってんだよ」
と、言った。

「別に、何だっていいじゃない」

だって私は、代わりなんだもん。

帰ったって、構わないんでしょ?

「それに、俺は“辞めろ”なんて言ってねーぞ」

「はあ…?」

何よそれ。

「自分から言っても取り消される訳?」

「俺の承諾がねーと、辞めるのは不可能だ」

完ッ全に、ふざけてる…!

私はそう思った。